河北新聞(2017.3.15)・徳島新聞(2017.4.26)・静岡新聞(2017.5.1)・陸奥新報(2017.5.3)・デーリー東北(2017.7.8) 掲載

時事通信 掲載 「花でつながる」

◎連載9回目(小さな力 町おこしに)

岡山県は倉敷や後楽園などの観光地で有名ですが、南西部には山川の景観が美しい矢掛という町があります。かつては参勤交代の大名行列が行き来する山陽道の宿場町として栄え、篤姫様も宿泊されたといわれていますが、今では人口が減り、訪れる人も少なくなりました。
町に元気を取り戻そうと、3年ほど前から町おこしが企画され、「寂しい冬期に、花で人の輪を作ってほしい」と依頼されました。地元の花の生産者の力強い協力体制もあり、町の中心から美術館に向かう通り沿いに花を装飾するイベントがスタートしました。

張り切って現地に赴いたものの、当初は住民の方々との温度差を感じたこともあります。それでも、ゴム長靴を履いて泥まみれになりながら古池の掃除をし、パンジーやハボタンなどを植える私たちの姿を見て、「ありがとう、きれいね」「枯らさないように面倒を見るね」と言ってくれる人が増えました。

うれしいことに地域住民でつくる実行委員会もできました。
こうして自然に町の人たちと話をし、笑い合いながら土をいじり、花を育てていく関係の中で、花をめでながら町の目抜き通りを歩ける花マップが完成しました。小さな花の力が、町の人たち一人一人の想いを開花させ、町おこしにつながっていくのだと感じています。(フラワーデザイナー・益子秀美)