時事通信連載・河北新聞(2017.2.8)・岩手日日新聞(2017.3.2)・徳島新聞(2017.3.22) 掲載

時事通信 掲載 「花でつながる」

◎連載4回目(日中の心の懸け橋に)

江戸時代に日本で翻訳、紹介された中国の花書「瓶史」は大人気となり、その後の日本の生け花界に多大な影響を与えたと言われています。

ところが、中国・無錫市で出会ったフローリストによると、「文化大革命や高度経済成長の影でいつしか中国の華道精神は失われてしまった。むしろ今の日本の生け花に、中国が培ってきた華道の歴史が息づいている」というのです。陰陽五行説をもとに草木自然の姿を表現した日本の生け花の凛とした美しさは、中国では失われてしまった清浄や高潔、清貧という華道精神の面影を宿し、感性の高さや思いやり、おもてなしの心までもが感じられ、中国人の心に訴え掛けてくるものがあるそうです。

自然を切り取った姿を生活空間でめでる、日本の生け花の良さを、改めて教えられました。

私も中国の無錫や成都に年2~3回行き、現地の花屋さんの様子を見ていますが、中には花の扱いが雑なところがあるというのが実感です。しかし、中国でも30代くらいの若い世代を中心に、日本から講師を招いて中国の花文化を再生しようという動きがあります。

政治の世界では、日中関係は必ずしも良好とは言えないかも知れませんが、花を通じた地道な交流が、日本人と中国人の心をつなぎ、友好につながるよう願っています。(フラワーデザイナー・益子秀美)